仕事ができる人はメタ認知能力が高い
仕事ができる人と、できない人がいます。
何をやらせてもある程度の水準でこなす人がいれば、いつまでたってもレベルの低いことしかできない人がいます。
呑み込みが早く、一を聞いて十を知る人がいれば、十を教えたのに一しかできない人がいます。
周りをうまく使って仕事をこなす人がいれば、自分のことしか見れず、周りが与えてくれるチャンスを逃してしまう人がいます。
素晴らしいアイデアを出す人がいれば、いつまでたっても一つのことしかできない人がいます。
この人たちの違いは一体何でしょうか?
仕事ができない人たちは、それは生まれつきの才能であったり、性格であったり、学生時代に勉強ができなかったからだといったりします。
確かに生まれつきの才能や性格というものは、人それぞれ違うものでしょう。
もしかすると、何十年に一人の天才と言われる人と私たちは、生まれつき持ってきたものがずいぶん違うのかもしれません。
ただ、私はそういった何十年に一人の天才の話をしているのではなくて、多くの一般的な人たちがなぜこうも、仕事ができる、できないと分かれてしまうのか、そしてそれはどのようなことによって枝分かれしていくのか、を考えたいと思います。
さて、小学校、中学校で突出した人はいますが、やはり多くの人はそれほど能力の差があるようには思われません。
「昔は全然勉強なんてできない子だったのに、今は立派になった」という人もいますし、「昔はよくできる子だったのに、どこで道を間違えたんだろう」と言われる人もいます。
ある程度年齢を重ねると、生まれつきの才能というのはほとんど関係ないのかもしれません。
脳科学でもこれは証明されていて、脳には可塑性というものがあり、この可塑性とは粘土を指で押したら痕が残るようなイメージをしていただいて、簡単に言ってしまえば変化し続けるという意味ですが、この可塑性があるおかげで私たちに記憶が残ります。
そして脳の中に記憶が残り、またその記憶と記憶が関連づけられることによって、つまりいろんな記憶が絡み合うことによって、さらに記憶が強化され必要な時に取り出しやすくなったり、またそれだけでなく、アイデアやクリエイティブな発想という意外性のあるものが出てくるのです。
関係づけられることによって、記憶の引き出しが強化されます。
これは私たちにも経験のあることだと思いますが、例えば何か新しいことを勉強する場合や資格を取る場合、一つ一つの言葉だけを、記号のように機械的に覚えるのではなくて、関連付けて覚えようとしたほうが記憶に残りやすいはずです。
単純に1939年に日独伊三国同盟とアメリカ、イギリス、ソビエトなどの連合軍の第二次世界大戦がはじまったと覚えるよりも、第一次世界大戦があって、その結果こうなって、あっちがああなって、第二次世界大戦がはじまったと関連付けて覚えたほうが、いろんなことが記憶に残りやすいですし、効率がいいです。
しかも、この記憶と記憶の関係性は、年を取れば衰えるものではなく、逆にいろんな記憶や経験が豊富にあればあるほど強化されると言います。
20代の人たちよりも30代、40代の人たちのほうが、こういった能力が高いことがわかっています。
ですので、何をやるにしても遅すぎることはありません。
今日から、今から興味のあることはやるべきなのです。
さて、仕事ができる人と、できない人の違いは一体何だろうか、というのが初めの問いでした。
それはメタ認知能力が高いかどうかに尽きると思います。