仕事ができる人はメタ認知能力が高い②

 さて、仕事ができる人はメタ認知能力が高いのですが、一体メタ認知とは何なのでしょうか?

それは、一つ視点を上げて、問題などをより高次の、根源的な問いに変換することです。

具体例を挙げてみましょう。

例えば部下が重大な失敗をして、取引先に迷惑をかけたとします。

しかも、それはあまりにも初歩的な失敗で、その短絡的な部下のせいで取引先は自分の会社ともう手を切ると言われたとします。

これは部下の失敗でもありますが、もちろん上司である自分の管理能力のせいと会社からは見られ、自分の評価は落ちます。

そこで感情的になり、怒鳴り散らしてしまいます。

ただ、メタ認知能力が高い人は、怒鳴り散らす前に、まず自分は感情的になっているという認知(これがメタ認知です)をし、その感情に流される結果、どういう状況になるだろうかと考えます。

たいていの場合、感情に流されるとよいことはありません。

自分の気持ちは少し楽になるかもしれませんが、部下は傷つき、関係が悪化することで今後仕事がやりにくくなるかもしれません。

また、取引先との関係を改善するために、詳しくその時の状況を部下に聞こうと思っても、心を閉ざし、適切には話してくれないかもしれません。

ですので、メタ認知ができる人は、ここで怒っても仕方ないので、「どうすればこの状況をより良くできるだろうか」と考えます。

メタ認知とは、自分が今やっていること、考えていることは、本当に正しいことなのかと、一歩引いて考えることなのです。

また、他の場合を考えてみましょう。

よく、「今の若い者は挨拶も礼儀もわきまえない」と言う年寄りがいますが、このような人たちはメタ認知能力が低いと言えます。

自分が見た数人の若い人から、さもほとんどの若い人たちは挨拶も礼儀もわきまえないと拡大解釈をしているからです。

実際、礼儀正しくしっかり挨拶する若者を、このお年寄りは見ているはずですが、それはなかったかのように振舞っているのです。

つまり、「今の若い者は挨拶も礼儀もわきまえない」と言いたいがために、礼儀正しい若者という見たくないものを見ないようにしている、という努力をしています。

「この人は礼儀正しくないが、あの人は礼儀正しい」というのがまっとうで、「今の若い者は礼儀正しいものもいれば、礼儀をわきまえないものもいる」というのが公平ではないでしょうか?

 メタ認知の意味を理解していただいたところで、メタ認知のメリットはどういったものかを考えてみたいと思います。

そのメリットは大きく3つあると思います。