生き延びる力③

 なので、彼らは他人と同じ行動をとるようになる。

これは子供の時には、それこそ生き延びる知恵なのかもしれません。

しかし、大人になるとそうはいきません。

人と同じでは周りの中に埋没してしまう。

他人と自分の違いが周りからはわからなくなります。

没個性的になってしまいます。

それは言い換えれば、替えのきく人になるということです。

「あなたがいなくなっても、他にあなたのようなことができる人は沢山いるから、会社を辞めてもらっても構わない」となってしまう。

それどころではありません。

あなたと同じ能力を有している人はいっぱいいるのだから、できるだけ賃金の安い人を採用しようとすることは、会社という組織にとっては当然のことです。

この資本主義社会ではそういう風になっています。

会社にとっては、そういう多と同じ人が一定数いないと立ちいかなくなります。

もし、誰か一人が辞めてしまうことで、その会社が経営危機に陥るとなれば、誰がそのような会社に投資するでしょうか。

銀行は絶対に金を貸しません。

そして、最悪の場合、あなたがいなくなっても誰もわからない。

他者があなたとその他大勢の判別がつかないのであれば、比喩的な意味でも、実際的な意味でも、あなたがふっといなくなっても誰も気づかない。

ですが、私たちは大人になっても周りと同じになるように必死に努力しています。

それは自分が努力していることさえわからないぐらい、自分たちに内面化され、深く根を下ろした考えなのです。

努力というものは、何か良い方向に向かってするものだとは限りません。

私たちはしばしば悪い方向に努力をしてしまいます。

もちろん、それは自分の無意識で起こっています。

ですが、悪い方向に努力をしていることは大いにあるということを心にとどめておけば、そうなったときに何か気づきがあるかもしれません。

 人と同じになるというのは、つまり大人になり切れてない人が多い、ともいえるかもしれません。

私たちは他人と同じように振舞ってはいけません。

「みんながこっちと言うから、おれはあっちに行くぜ」ぐらいがちょうどいいのです。

周りがみんな感じていることに「なんかおかしいな」と思ったら、その直感を信じなければなりません。

その直感は時には非常識的であったり、ありえないことであったりするかもしれません。

ですが、それは他ならぬあなたが思ったことなのですから、それをなかったことにすることは、自分を殺してしまうことにつながると思います。