成功者は幽体離脱ができる

 といっても、もちろん本当に幽体離脱をするわけではない。

自分を上空から覗く視点を持つ、あるいは自分だけでなく世界を一歩離れてみる視点を持つことができるということだ。

これをメタ認知という。

主体そのものに自分を同化していると(つまり自分の中だけに閉じこもると)、その主体が考えること、感じたことが絶対的なことと錯覚してしまう。

例えば、日本に住んでいて当たり前だと思っていることが、外国では異質なことと受け取られることは多い。

日本では蝶々と蛾と同じようなものを2つに分けて、一方をきれいなもの、一方を汚らわしいものと分けて考えるが、外国の一部ではどちらも蝶々という言葉で表現される。

そこではきれいだ、汚らわしいという違いはない。

どちらも同じ蝶々である。

また、シマウマを見た時に、私たちは多くの場合、どちらかというと白地に黒の線が入っていると考えるが、アフリカなどでは、黒地に白の線とみなす人が多い。

これは、黒人なので黒地が当たり前だと思っているからそう見えるだけで、どちらが正しいとか、そういったものはもちろんない。

このように、上空に幽体離脱して自分や周りを見回してみると、いかに自分にバイアスがかかっているか、一元的に考えているかがわかる。

これは日本人同士でも、もちろん起きる。

営業の場合を考えてみよう。

自分はこの商品が相手に確実にメリットがあると思って営業をしているとしよう。

この新しい商品に乗り換えたほうがコストの面で非常に良いと。

なので必死になって商品を勧める。

ただ、相手は先々のことよりも、まず今のお金のことで頭がいっぱいだから、その商品を買う気はない、ということは多い。

また、今時間がないので話を聞いてる余裕がなく、早く帰ってほしいと思っていることも多い。

ここで幽体離脱をしてみよう。

自分は相手のことを考えて商品を勧めているが、それは相手に伝わっていない。

どうしたら相手に伝えることができるだろうか?

新しい商品を使ったらどれくらいの期間で元が取れるのか紙に計算して見せたらどうか?

今の商品に慣れているので、お試し期間として新しい商品を無償で置いてもらって、どれぐらい使いやすいか試してもらおうか?

今は話を聞いてくれる状態ではないから、一旦引き上げようか?

お客さんにとっても時間が失われるし、自分にとってもコスパが悪いから、さっと次のお客様のところに行こうか?

などなど、いろんな選択肢が出てくるのである。

これは客観的に考えると言い換えてもいいかもしれない。

ただ、客観的に考えるといっても意外に難しい。

相手の身になってとよく言われるが、相手も自分のことがよくわかってない場合が多いのに、他人がどこまでその人のことをわかるだろう?

幽体離脱のように第3者になって、言ってしまえば神の視点になって考えるほうが得策だ。

この時のコツは、本当に上空から見ているみたいに想像することだ。

上空から自分を見て、相手を見て、周りを見て、自分では本来見えない後ろの様子も想像するのだ。

世の中のことは自分のままではわからない。

幽体離脱をしないとわからないことが結構ある。