脳は進化し続ける

 私たちの脳は進化し続ける。

何かの資格を取ったり、もっと仕事ができるようになるために本を読んだりするのは、いつからはじめても遅すぎることはない。

脳は使えば使うほど進化するし、使わなければ退化してしまう。

これは身近でよく感じられることで、例えば何か新しいことをはじめたとして、それが当初はなかなか難しそうに思えても、少しづつやっていけば、その新しいことは苦も無くできるようになったりする。

また、社会人になると、中学や高校で習った数学や日本史などをすっかり忘れてしまう。

日本史の年号などは、だいたい忘れてしまうものだ。

これは使えば使うほど脳のその部分は進化し、日本史など使わなければ退化し忘れていくということだ。

 科学的にもこれは証明されている。

 

生まれつき人差し指と中指がつながったままで、指が4本しかない人がいる。

この人の脳を調べてみると、4本分の神経しかなく、5本目に対応するものが見つからない。

指が4本なので、脳の神経も4本分しかないというわけだ。

そして、人差し指と中指を分ける手術をして、もう一度この人の脳を調べてみた。

脳の神経が4本分しかないので、多くの人は人差し指と中指は同じ動きをすると考えたが、なんと指は別々の動きができ、5本目の神経が見つかった。

これが意味するのは、人間は成長すると脳は固定されるわけではなく、外部の情報に応じて変化していけるということだ。

逆に、事故などで腕が切断されたという人は、それに対応する脳の部分が退化していく。

もっとも今まで腕でやっていたことを足でやったりするわけで、その足に対する脳の部分が、他の人より進化するのである。

私たちの脳を進化させるか、退化させるかは、自分次第ということだ。

 

 とはいえ、年を取るにつれて、物覚えが悪くなったりするではないか、という考えもある。

研究者は20代から30代までがピークで、そのあとは能力が落ちてくると言われる。

これは、身体、体力が衰えたために、若い頃より無理ができなくて脳を使うことができず、脳が退化したというよりは、進化が緩やかになったというべきだろう。

それに、例えば新しいことをやったり、何かを覚えようとしたり、そういったことをやらなくなって記憶力が低下したとしても、何か別のものが、若い時よりもできるものがあるはずだ。

何を選択して、何を削ったかが、未来の自分の能力を決めるといえる。

 

体力があり、時間があるときは、興味あることは何でも手あたり次第やっていっても上手くいくだろう。

でもそれは学生のうちまでだ。

社会人になると、どうしても自分の時間が少なくなる。

そして体力が少なくなってくる。

体力が少なくなってくると、何をやるか、という選択がかなり重要になる。

それよりもさらに重要なのが、何を削るかという選択だ。

やりたいことを、できるだけ長時間やるためには、やらなくてもいいことをやらないと決めることが重要である。

この選択は、人によって変わるだろう。

テレビを見る、スマホを触る、料理を作る、部屋を掃除する、友達と遊ぶ、酒を飲む、買い物をする、年末に実家に帰省する、などいろいろと時間が取られることは多い。

どれを捨てるかで、その人の個性が出るのである。

絶対に要らないな、と私が思うのはテレビである。

テレビを1日に3~4時間ほど見ている人もいるし、そうなればほとんどの自由時間はつぶれるだろう。

さらに、個人によるかと思うが、テレビが面白いとはとても思わないし、何か情報を得る媒体としては、かなり効率が悪い。

スマホのニュースアプリのほうが断然いいだろう。

 

 また、睡眠時間は絶対に削らないほうがいいと思う。

1日のコンディションを左右するものであるし、睡眠は記憶の定着と、新しいアイデアの発想にも大いに関係があるからだ。

睡眠は、例えばその日に読んだ本の情報を、何度も繰り返し脳内で再生することによって、記憶の定着に役立っているし、また、一見全然関係のなさそうなものを結び付けて、新しい情報にしたりなど、無意識にアイデアを作っているからだ。

頭をよくしたいと思うなら、睡眠時間は削らないほうがいいのである。