就職活動に困っている大学生

 就職活動をしている大学生と話をすると、みんなが知っている企業、大企業に就職したい、という人が多い。

私にはこの気持ちがあまり理解できないが、これには2つ理由がありそうだ。

 

 1つは大企業以外の、他の企業のことを何も知らないから選択肢に入らない。

22歳前後の若者は、企業なんてテレビで見たか、ネットで見たか、お客さんとして接したか、どれかしかない。

経験が少なすぎるのだ。

だが、大企業のことも何か知っているのだろうか?

テレビやネットで見せられているのは広告である。

本当のことはわからない。

大企業も中小企業も本当のところは何もわからないのであるが、本人はそう思っていない。

インターンをするという選択肢もある。

しかし、インターンで何がわかるのだろうか?

会社はマイナスな情報をインターン生に知られないよう、気を配り指導するだろう。

つまり、お客様扱いをするのだ。

それに、もしその会社に就職しなかったら、その人は今後お客様になるかもしれないのだ。

 

 2つ目は、大企業に入ってみんなから認められたい、価値がある人に認められたい、と思っていること。

これも当然のことながら、大企業に入ったところで、その人に価値が出るわけではない。

ただ、学校でもネットでも、良い成績をとって良い大学に入る、いいねを押してもらって認めてもらう、など、そういった教育や環境で育てられたのだから、ある程度は仕方のないことなのかもしれない。

「よくできたね」と両親に褒めてもらう小学生と同じで、人に褒めてもらわなければ自分の存在価値がわからないのだろう。

それが、子供の定義なのかもしれない。

大人になると、人に褒めてもらったところで、特に大してうれしくない。

自分で自分をほめて、価値を見つけるのが大人なのだ。

 

また、さらに悪いことには、大企業に入ることがゴールだと思っている節がある。

本当は、会社に入ってからのほうが長いし、入ってから何をやるかのほうが重要なのだが、そういった長期的な視野はなかなか出てこない。

これもテストの成績がゴール、良い学校に入ったのがゴールと教育を受けているので、仕方ないかもしれない。

 

 ただ、言えることは、そういった情報は参考程度にとどめ、自分で考えて会社を決める人のほうが、仕事にも人間的にも伸びるだろうということだ。

大企業には、かなり優秀な人も入ってくるだろうし、そういった上位1%の人が仕事にやりがいを感じ、自分の価値を見つける。

残りの99%の人は、仕事で挫折して、会社が悪い、上司が無能だ、環境が悪い、など周りのせいにして、自分を慰める。

大企業に入るな、と言うのではない。

自分で考えて大企業に入るなら、挫折したとしても納得はできるだろう。

できるだけ0ベースで考えたほうが良いと思う。